その星に願いをかけようか。
流星群
天気予報は当てになんてならない。
朝の予報では曇りだったのに、目の前には満天の星空。
冬の澄み切った空気は身を切るよう。
望遠鏡を出すまでもない。
肉眼で十分見られるからね。
だって、今夜は流星群の極大日。
「そういえば約束してたんだっけ?一緒に見るって。」
約束って脆い絆だよね。
小さく笑うと視界で冥い星が一つ流れた。
白い息がフワリと揺れた。
『失った人達を、還して欲しい。』
夏の初めに綺麗な目でそう言ったのは、君だった。
それを嘲笑ったのは、僕だった。
「どんなに願っても、還ってなんて来ないんだよ。」
だって、奪ったのは君だった。
殺したのは君達だった。
七夕とは違うんだけどね、流れ星にも願いをかけるらしいよ?
僕も願ってみようか。
願いを3回、心を込めて。
「カレヲカエシテカレヲカエシテカレヲカ・・・。」
呪文のように言ってみたけど、ちょっと長すぎるのかな?
どうしても最後まで言えない。
一般的に考えて、3回はきついよね。
流れ星はあっという間に消えてしまうんだから。
『どうして失ってしまったの?』
『大切な人だったの?』
彼を殺させたのは僕。
結局は、僕が殺した。
大切な人だった。
たぶん。
とても。
とても。
『僕もお願いするよ。蘇芳の願いが叶うように。』
―― 失った人達を還して。
燃え尽きたのは星屑じゃなくて、彼の願いだった。
僕の願いに、なった。
死んだ人は星になるんでしょう?
この、綺麗な輝くものに。
夜空を照らすものに。
僕はもう、汚れてしまったから。
『ねぇ、瑞樹はいつも陽だまりのように綺麗だね。』
さぁ蘇芳。
今、ここに来てよ。
そして殺してよ。
僕も罰を受けるから。
遥か彼方叶わない願いを纏い焼ききれるまで流れて消えるいくつもの星。
冥い話が好き・・・もうビョーキなんだと思います(笑)。
この話は『朱の記憶』草太BADENDから派生しています。
つまり、蘇芳は瑞樹に騙された草太に殺されてるんですね(オイ)。
このENDは草太の駄目っぷりがいっそ哀れですが、残った瑞樹がどうなったのかが私は気になってます。
で、こんなん書きました(爆)。
ゆずの素敵漫画をこんなところでパクって、いつか闇討ちになると思うのですがね(汗)。
次は『陽のあたる場所』です。
綺麗な題ですが、私が書くとたぶん・・・ぶ・ち・こ・わ・しw(殺)
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